店舗スタッフ・小売業の働き方改革のポイントは? 店舗での導入事例も紹介

 2020.09.01  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

2019年4月に施行された「働き方改革関連法」を皮切りに、さまざまな業界で本格的に働き方を見直す取り組みが行われています。そこで当記事では、長年にわたって人手不足が課題とされてきた小売業界における働き方改革のポイントや、店舗への導入事例などについてご紹介します。

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働き方改革と小売業が抱える課題

現在、働き方改革は大企業・中小企業を問わず重要な課題となっています。
働き方改革とは、労働者が個々人の事情やライフスタイルに応じた働き方を選べるよう、従来の働き方を見直そうとする動きです。この背景には、少子高齢化による労働人口の減少や、長時間労働の是正を望む声が高まっていることなどが挙げられます。

厚生労働省は公式ホームページにて、働き方改革の目的として『我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています』と述べています。(引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

働き方改革のもと社会が大きく動いていく中、小売業が抱えている課題と解決のヒントは果たしてどこにあるのでしょうか?

働き方改革がうまくいかない理由

現在、日本が直面している少子高齢化や長時間労働などの問題に対し、官民でさまざまな取り組みを行っています。たとえばオフィスワーカーにおいては、コロナ禍の中で大きな話題となったテレワーク(リモートワーク)が、以前よりも働き方改革の手法の一環として推進されるようになりました。

しかし、多くの企業・店舗にとって働き方改革の導入は、現実的に難しいものがあります。その要因の1つとして考えられるのが、日本の多くの企業が労働集約的であるということです。小売業界はもちろん、業界・業種を問わずほとんどの企業が社員の労働力に支えられてきました。

そのため、たとえば働き方改革に即した制度を利用して、妊娠・出産・子育て・介護などのために時短勤務や休暇を希望する社員がいる場合、その仕事量はほかの社員の負担となるケースが多々あります。ほかの社員は残業を減らすように指示されている中、大きな負担を抱えることになってしまいます。

また、店舗スタッフの仕事量を減らすことで、マネジャーなどの上司がその分を負担するケースも見られます。すると上司は、多くの仕事を抱えるために仕事の質が落ち、会社の評価を得られずにモチベーションを大きく低下させてしまう可能性があります。

このような事情から、ただ時短勤務などの制度を実施するだけでは、飛躍的な労働環境の改善に至らないケースも多いようです。

小売業が抱える課題

小売業が抱える課題としては、慢性的な人手不足があります。利益を求めた結果、営業時間を延長していったため、余計に人手を必要とする状況に陥った業種もあります。そして長時間労働が生まれ、離職率が上がった結果、さらなる人手不足の加速という悪循環を抱えてきました。

これらは単に人手を増員するだけでは解決せず、働き方改革による勤務体系の抜本的な見直しが要求されます。

店舗が働き方改革を進める際のポイント

ここからは、店舗(現場)で働き方改革を導入する際に考慮すべきポイントについて見ていきましょう。

複数の勤務体系を用意する

さまざまなライフステージにあるスタッフが働きやすいように、多様な勤務体系を用意することが大切です。コアタイム制や時短勤務など、社員の状況を考慮しながら用意するとよいでしょう。

時間の取捨選択

限られた人手で十分なサービスを提供しようとする場合、お店にとって重要な時間とそうではない時間を見極めることが重要です。店の繁忙期や混む時間帯など、人手が必要となる時間帯を分析し、必要な時間帯に必要なスタッフを配置できるようにします。

人の育成

従業員一人ひとりのスキルを上げるために、人材育成への投資も必要です。社内研修や社外セミナーなどを取り入れ、積極的に育成をしていきましょう。

IT・AIの導入

たとえばモバイルオーダーやPOSシステム、セルフレジなど、店舗のデジタル化について見直すのも有効な手段です。初期費用はかかりますが、長い目で見れば人件費の削減につながります。また、スタッフの作業負担を減らすことで接客などの質が上がり、顧客満足度が高まる可能性もあります。

一人ひとりのモチベーションを上げる

同じ業務量を短時間で行おうとした場合、一人ひとりの能力を上げることが必要です。とはいえ、無理やり多くの業務を行わせようとすると、やる気を削がれて逆に労働力が低下しかねません。

従業員一人ひとりが本来持つ能力を適切に発揮できるよう、モチベーションを上げることが大切です。有給休暇が取りやすい雰囲気づくりに努めるなど、労働環境を整えてあげるとよいでしょう。

働き方改革を導入している企業の事例

ここからは、実際に働き方改革を導入した実例についてご紹介します。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」などを運営する「ロイヤルホールディングス」、ファッションや雑貨を扱う「株式会社ビームス」、「Soup Stock Tokyo」などの飲食店を展開している「株式会社スープストックトーキョー」の3社を例に挙げ、どのようにして働き方改革を行っているのか見ていきましょう。

環境変化に適用し24時間営業を廃止「ロイヤルホールディングス株式会社」

ロイヤルホールディングスは、営業時間の見直しやES(従業員満足)とCS(顧客満足)の向上などに尽力してきました。

従来、ファミリーレストランやコンビニ業界で一般化していた24時間営業を2017年1月に廃止し、営業時間短縮の方向へとシフト。以前は全店舗のうち30%が24時間営業を行っていましたが、現在では午前9時~深夜0時が基本となっています。

それが実現できた背景には、若者のライフスタイルの変化もあったそうです。かつては深夜にファミレスに集まって仲間と話す若者が多くいましたが、近年では自宅にいたままSNSでコミュニケーションを楽しむことも多く、深夜営業は必ずしも合理的とはいえない状況が続いていました。

当初は大きな減収を覚悟したそうですが、深夜営業をやめた一方で、単価の高いランチやディナーにスタッフを集中させたこともあり、売り上げは好調。スタッフからの評判もよく、サービスの質が向上したことで顧客満足度も上がっているとのことです。

残業時間0を目指す「株式会社スープストックトーキョー」

株式会社スープストックトーキョーでは、労働時間やクレーム対応などの見直しを行ってきました。

「生活価値拡充休暇」を掲げ、社員の年間休日を120日と規定。そして、働き方と生活の質を向上させるため、休日を増やしつつも給与はそのままとしています。残業時間も短縮し、一般的な飲食店の残業時間が200時間といわれる中で、スープストックトーキョーは多くても平均20時間程度となっています。今後は残業時間0を目指していくそうです。

また、店長などはこれまでクレーム対応のために休日出勤をすることもありましたが、現在では対象店舗の店長が休日の場合、近隣店舗の店長やエリアマネジャーが対応しています。そのため、店長でもしっかりと休みがとれるようになっています。

IT活用 で精算・商品管理作業を大幅に効率化「株式会社ビームス」

最後に制度ではなく、IT活用により店舗の負担となる作業の短縮に成功した例をご紹介します。

アパレル業界でもIT化が進んでいますが、株式会社ビームスでは店舗内の全商品(約6,000点)に電子タグを装着。そして、POSシステムとRFIDリーダ・ライタを連携させることで、在庫の量を適正に保ち、在庫切れによる販売機会の損失を防ぎました。

仕事の効率もアップし、店舗での棚卸作業を平均40時間から4時間へと大幅に削減しました。アパレルでは取り扱う商品の多様さから、作業の複雑化が問題とされてきましたが、ITの導入によって業務をシンプルにしたことで、スタッフにとって働きやすい環境を実現させた好例です。

以上のような、「店舗の忙しい時間・暇な時間を分析してスタッフの働く時間を改善」「休暇を取りやすい環境づくり」「店舗のIT化」などはメリットも多く、働き方改革の中で考慮に入れておきたいポイントといえます。

まとめ

現在、国をあげて働き方改革が推進されていますが、日本には労働集約的な面があるため、なかなか実現できていない企業や店舗があるのが実情です。しかし、業務の見直しによる業務時間の短縮や残業カット、IT化などにより、売り上げを損ねることなく働き方改革を成功させている企業もあります。実例を参考にし、自社の課題克服に努めましょう。

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